嘘と正典。 最後の不良になるという事について...
一言_ 覇砂羅団は解散し、最後の不良が誕生した。
著:小川哲 全6遍を含む短編集。
短編の1つ「最後の不良」について。
※ネタバレあり。
あらすじ
2018年、MLS社は ”流行をやめよう” をテーマに掲げ、「流行りに乗ること自体がダサい」という風貌が広がり、結果日本に ”虚無” を流行させた。
いろんなメディアとサブカルを愛す元雑誌編集者の桃山は、以前取材した暴走族の総長からもらった”覇砂羅団乃暴走神風” と刺繍した特攻服を着て、改造単車”ゴッドリーブ号”に乗りMLS本社へ走らせる。
感想&ネタバレ
昔懐かしのゆるきゃら軍団や、森ガール、カープ女子達が登場しMLS社へデモする場面には笑ってしまった。
不良とは学校や世間のルールに縛られるのが嫌で髪を染めたり、反抗的になり、バイクも改造したりして1個人として何者かになろうとした、だけど流行した事によりみんなが同じような人間になってしまった。
なんやかんやありこんなことを言われる場面がある。
「MLSの会員になりたいなら、推薦してやってもいい」
元職場の色々な流行を雑誌で流行らせてきた上司が実はMLSの会員で、流行に対する虚しさを桃山に説いたあと言うセリフ。
カッコつけて 難しい映画や堅苦しい本を読んで背伸びをすることへの肯定。
そういった文化を愛することで、普段の生活を彩らせることの楽しさ。
そんな思いが込められたパンチを桃山はMLS会員である元上司の顔面に浴びせる。